10月20日付日本経済新聞に、税理士会の意見広告が掲載されました。
来年度の税制改正への建議の一部分ですが、従来から反対している消費税の軽減税率導入への反対意見の他、4つの提言を特に打ち出しています。(画像をクリックすると大きな画像が表示されます)。
消費者にとって一見よさげに見える軽減税率ですが、実際に運用するとなると様々な不都合が生じることが十分に予想されます。それはすでに導入されている諸外国の例を見ても明らかです。
一方で、軽減税率の恩恵はごくわずかです。例えば月の食費が5万円の家庭では年間12,000円(10%と8%の差額2%分×12)にしかなりません。その上、高級食材であってもほぼ区別無く軽減税率になるため、低所得者よりもむしろ高所得者の方がその恩恵を大きく受けることができます。
実際に消費税を納付するのは、商店や企業などの事業者です。軽減税率が導入されれば、企業の現場では大変な混乱が生じるでしょうし、経理事務の手間が大幅に増すことは確実です。日本の企業の99.7%(2014年7月時点)を構成する中小企業と直接関わっている税理士の目から見て、不都合の方が多い軽減税率の導入には大いに反対します。
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