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(2015/04/01) 法人税率の改正と実効税率について

 平成27年4月1日以後に開始する事業年度より、法人税の税率が引き下げられます。報道などでは「実効税率34.62%から32.11%へ」となっていますが、ここでいう「実効税率」って何でしょう?実効税率の話は、過去のトピックでもご紹介しましたが、税率変更に伴い新しい計算をお示ししたいと思います。

 一般に“法人税等”(決算書表記では“法人税及び住民税”)というのは、[法人税(国税)]と[事業税]と[住民税(県税+市税)]を合わせたもので、これらの税率を単純に足しただけのものを“表面税率”といいます。しかし実際には事業税は損金(経費)になることから実質的な課税所得が下がり、これが実効税率と呼ばれるわけです。(事業税も県税の一種ですが、ここでは計算上の都合で分けて扱います)

●実効税率の計算式

 まず、単純に法人税率と住民税(県税+市税)率と事業税率を足したものが表面税率と呼ばれます。(住民税率は所得ではなく法人税に掛ける数字なので、足し算する際には「法人税率×住民税率」となります。また、事業税には[事業税所得割]と[地方法人特別税]があり、事業税所得割の税率は所得額に対する税率であるのに対し、地方法人特別税の税率は事業税所得割に対する税率ですので、「事業税率」といった時には[事業税所得割の税率×(1+地方法人特別税の税率)]となります。ややこやしいですね。)
 表面税率 法人税率+法人税率×住民税率+事業税率
法人税率×(1+住民税率)+事業税率
 次に、表面税率を事業税率で割り戻したものが実効税率です。
    表面税率
 実効税率
    (1+事業税率)
 これを最初の部分から数式で表すと、次のようになります。
    法人税率×(1+住民税率)+事業税率
 実効税率
    (1+事業税率)  

 これに具体的な数字を当てはめると、次のようになります。

●実効税率の計算式(平成27年4月1日以後に開始する事業年度)

    23.9×(1+0.173)+6    
 実効税率
32.11%
    (1+0.06)    

(1) 地方法人税   4.4%      
    (2) 県民税   3.2%      
    (3) 市民税   9.7% (1)〜(3)計   17.3%
    (4) 事業税所得割   3.1%      
    (5) 地方法人特別税   93.5% (4)×(1+(5))   6% 

 なお、上記例は一番高額な場合です。事業税も資本金1億円を超える外形標準法人の場合のものです。
 実際は、所得(利益)に応じて税率が変わるように区分されていますし(段階税率)、企業の規模(資本金,分割県数,年所得)によっても、所在地の地方自治体によっても適用税率は異なるため実効税率も変化するのですが、特定の企業に当てはめて使う場合を除いて、一律この値を用いるのが一般的です。


【関連リンク】

 《ウィキペディア》 法定実効税率


※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。


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