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(2014/04/01) 法人税率の改正と実効税率について

 平成26年4月1日以後に開始する事業年度より、法人税の税率が引き下げられます。実効税率の話は、以前2011年1月26日版でもご紹介しましたが、税率変更に伴い新しい計算をお示ししたいと思います。

 一般に“法人税等”(最近の決算書表記では“法人税及び住民税”)というのは、[法人税(国税)]と[事業税]と[住民税(県税+市税)]を合わせたもので、これらの税率を単純に足しただけのものを“表面税率”といいます。しかし実際には事業税は損金(経費)になることから実質的な課税所得が下がり、これが実効税率と呼ばれるわけです。(事業税も県税の一種ですが、ここでは計算上の都合で分けて扱います)
 よく、新聞報道などで「実効税率が38.01%から35.64%へ」と表示されますが、これは東京都所在の大法人(外形標準法人)の場合で、その計算根拠は次のとおりです。(いずれも小数点以下2位で四捨五入)

●実効税率の計算式(平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度|東京都)

法人税 25.5%  
復興特別法人税 2.55% =(法人税の)10%
住民税 5.28% =(法人税の)20.7%
事業税 7.55%  

 
単純合計(表面税率) 40.88%  

 
実効税率 38.01% 40.88%÷(1+0.0755) 
表面税率÷(1+事業税率) 

 これが、平成26年4月1日以後に開始する事業年度からは復興特別法人税の廃止に伴い以下のようになります。

●実効税率の計算式(平成26年4月1日以後に開始する事業年度|東京都)

法人税 25.5%  
住民税 5.28% =(法人税の)20.7%
事業税 7.55%  

 
単純合計(表面税率) 38.33%  

 
実効税率 35.64% 38.33%÷(1+0.0755) 
表面税率÷(1+事業税率) 

 なお、上記例は一番高額な場合です。事業税も資本金1億円を超える外形標準法人の場合のものですし、住民税も東京都の場合のものを指しています。
 実際は、所得(利益)に応じて税率が変わるように区分されていますし(段階税率)、企業の規模(資本金,分割県数,年所得)によっても、所在地の地方自治体によっても適用税率は異なるため実効税率も変化するのですが、特定の企業に当てはめて使う場合を除いて、一律38.01%や35.64%を用いるのが一般的です。


 では、東京都以外の、しかも中小法人(資本金1億円以下)ではどうなっているでしょうか? ここでは、愛知県の場合を例にとって計算してみることにします。

●現行の段階税率別実効税率(平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度)

<資本金1億円以下の普通法人の場合|愛知県|カッコ内は減税施行中の名古屋市の場合>
年所得400万円以下 年所得400万円超
800万円以下
年所得800万円超
表面税率 法 人 税 15% 25.5%
復興特別法人税 1.5% 2.55% 
県民税 0.75% 1.28%
市町村民税 1.85%(1.75%) 3.14%(2.98%)
事 業 税 4.89% 7.24% 9.59%
合 計 23.98%(23.89%) 26.34%(26.24%) 42.05%(41.90%)
実効税率 22.86%(22.78%) 24.56%(24.47%) 38.37%(38.23%)


●平成26年改正後の実効税率(平成26年4月1日以後に開始する事業年度)

<資本金1億円以下の普通法人の場合|愛知県|カッコ内は減税施行中の名古屋市の場合>
年所得400万円以下 年所得400万円超
800万円以下
年所得800万円超
表面税率 法 人 税 15.00% 25.5%
県 民 税 0.75% 1.28%
市町村民税 1.85%(1.75%) 3.14%(2.98%)
事 業 税 4.89% 7.24% 9.59%
合 計 22.48%(22.39%) 24.84%(24.74%) 39.5%(39.35%)
実効税率 21.43%(21.35%) 23.16%(23.07%) 36.05%(35.9%)

【関連リンク】

 《ウィキペディア》 法定実効税率
 《国税庁》 復興特別法人税の改正の概要(PDF)


※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。


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