税務署が配布している『年末調整のしかた』というパンフレットの中で、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)に関する部分に違和感を感じました。
住宅ローン控除は住宅政策の一環としての制度なので、数年毎に制度が変わります。控除の期間、控除率、1年あたりの限度額が細かく異なりますので、表を見ながら突き合わせをしないと間違いの元となります。
下の表は、『年末調整のしかた』の一部抜粋ですが、平成22年度版と平成23年度版とで記述の違いがあることに気付きます。
|
|
「住宅を居住の用に供した日」の欄を見ると、昨年度版では平成11年1月1日から途切れることなく続いているのですが、今年度版になると、平成13年7月1日〜同年12月31日の期間がすっぽりと抜けています。
一見、「ミスプリントかな?」と思ってしまいますが、実は以下のような理由があります。
初年度から数えて続けて控除ができる「控除期間」というものが決まっているのですが、平成13年6月30日を境に、15年から10年に短縮されました。
つまり、平成13年7月1日〜12月31日の期間に入居した人は、平成22年で10年目を迎えることで平成23年には「対象外」となるので、平成23分の一覧表には掲載されていない、というわけです。
平成13年6月30日までに入居した人は控除期間が15年ですから、まだあと5年間続くことになります。ここが損得の分かれ目だったんですね。当時は住宅会社もこの点を盛んにアピールし、「駆け込み入居」も多かったはずです。
民間から出ている手引き書には、ここの部分が従前どおり「平成13年7月1日〜16年12月31日」となっているものもありますが、単に「終わってしまった部分についてもまだ記載されている」というだけで、間違いとは言えません。ただ、適用ミスを防ぐという意味からは、税務署版の方が正しいと言えます。
【関連リンク】
《国税庁》 | 平成23年分 年末調整のしかた(PDF版パンフレット) |
平成22年分 年末調整のしかた(PDF版パンフレット) |
※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。