12月2日、平成23年度税制改正に関する法律「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)及び「国税通則法施行令の一部を改正する政令」(平成23年政令第382号)が公布されました。
この中で、「更正の請求」について、請求期間の延長や請求の範囲の拡大などがおこなわれ、また、更正の請求に際してはその理由の基礎となる「真実を証明する書類」の添付が必要となることが法令上明確化されました。
更正の請求期間が5年に延長されるのは平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税からとなっていますが、平成23年度税制改正大綱において「今般の更正の請求に関する改正趣旨を踏まえ、過年分についても、運用上、増額更正の期間と合わせて、納税者からの請求を受けて減額更正を実施するよう努める」ことが盛り込まれています。
■ 更正の請求期間の延長
平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として5年に延長されました。
なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税については、更正の請求の請求期限は従来どおり法定申告期限から1年となります。
更正の請求期限を過ぎた課税期間について
平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、増額更正ができる期間内に「更正の申出書」の提出があれば、調査によりその内容の検討をして、納め過ぎの税金があると認められた場合には、減額の更正をおこなうことになります。
■ 更正の請求範囲の拡大
当初申告の際、申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち、一定の措置については、更正の請求(または修正申告書)の提出により事後的に適用を受けることができるようになりました。
また、控除等の金額が当初申告の際の申告書に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、更正の請求(または修正申告書)の提出により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除等の金額を増額することができることとされました。
この措置の適用は次のとおりとなっており、それより前の年分等には適用されません。
(所得税関係) | 平成23年12月2日の属する年分以後の所得税 |
(法人税関係) | 平成23年12月2日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税 |
(資産税関係) | 平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来する相続税または贈与税 |
■ 「事実を証明する書類」の添付義務の明確化
更正の請求に際しては、更正の請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」の添付が必要となることが明確化されました。
この改正は、平成24年2月2日以後におこなう更正の請求から適用されます。
■ 偽りの記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則の創設
内容虚偽の記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が設けられました。
この改正は、平成24年2月2日以後におこなう更正の請求から適用されます。
■ 増額更正ができる期間の延長
平成23年12月2日以後に法定期限が到来する国税について、増額更正をすることができる期間が、改正前は3年のものについて5年に延長されました。
【関連リンク】
《国税庁》 | |
《官 報》 | 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第114号) |
国税通則法施行令の一部を改正する政令」(平成23年政令第382号) | |
(いずれも、官報 平成23年12月2日付(特別号外 第52号)) |
※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。