株を売買して得た利益にかかる税金かは「申告分離課税」といって、原則としては投資家が自分で申告することになっています。そのためには、1年分の取引をまとめて損益を計算しなければなりません。
そんな面倒な事務負担を軽減してくれるのが「特定口座」。特定口座を開くと、証券会社が損益を計算して「年間取引報告書」を作ってくれます。
特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。また、特定口座を選択しない場合には自動的に「一般口座」が開設されます。結局3つの選択肢があるわけですが、どれを選んだらどうなるのか、なかなかわかりにくいかもしれません。
■株取引は申告が必要? | ||||||||||||||||||||
株の売買で利益が出ても「源泉あり」の特定口座を選んでいると、証券会社が自動的に利益の10%を税金として納めてくれるので、申告は必要ありません。ただ「源泉なし」の特定口座や一般口座を保有していて収益を得た場合は、申告の必要があります。ただし、サラリーマンなど給与所得者で、一定の条件(後述)を満たす場合、利益が20万円以下なら確定申告は不要です。 | ||||||||||||||||||||
■株の損は3年間繰り越すことができる | ||||||||||||||||||||
株で損をした場合は、翌年以降に株で利益が出た場合にそこから引くことができます。これが「損失の繰越」で、繰越は3年間にわたって可能です。この制度を利用するには確定申告が必要です。 | ||||||||||||||||||||
■株の利益と他の所得との損益通算 | ||||||||||||||||||||
株の売買利益は申告分離課税ですから、他の所得(給与所得や不動産所得など)との損益通算(一方の利益と他方の損失を相殺すること)はできません。株式型投資信託の解約損や償還損、株の信用取引、ETFやREIT、外国株などの所得となら損益通算が可能です。 | ||||||||||||||||||||
■一般口座と特定口座のメリット・デメリット | ||||||||||||||||||||
表にまとめると、次のようになります。
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■特例の恩恵を享受したいなら、一般口座 | ||||||||||||||||||||
特定口座を選択しないと自動的に一般口座が開設されます。一般口座は損益計算や確定申告などの煩わしさはあるものの、証券税制の特例の全てを使うことができます。
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■取引者のタイプ別に見る「オススメ口座」 | ||||||||||||||||||||
取引をする人のタイプ(給与所得者か、他の人の扶養に入っているかなど)によって、だいたいですがオトクになる口座を分けることができます。
(いずれも「絶対」ということはありません) サラリーマンやOLなどが「源泉徴収あり」の特定口座を選んだ場合、年間の譲渡益が20万円以下であっても税金を払う羽目になるため、取引が少ない人は、一般口座か「源泉徴収なし」の特定口座を選択した方がよさそうです。 他の人の扶養に入っている主婦や学生の場合、「源泉なし」や一般口座を選んで確定申告すると、年間の合計所得が38万円を超えた場合に扶養から外れてしまうこともありますから、「源泉あり」を選んだ方が賢明と思われます。 医療費控除を受ける場合や年金生活者など、もともと確定申告が必要な人は一般口座か「源泉徴収なし」の特定口座。一般的には損益計算が面倒ならば「源泉徴収なし」の特定口座の方がよさそうです。 |
※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。