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(2007/03/10) 退職金にかかる税金

 年度末で、定年退職者が多く出るシーズンです。
 退職金も給与の一種ですが、勤続期間全体に対するまとめ払い的な性格が大きいことから、通常の給与とは切り離して独自の計算方法を取ります。
 以下、会社または事業主による源泉徴収税額の計算について書きます。

【所得税】

退職所得税額=課税退職所得金額(a)×税率−控除額(※税率表参照)
(a)課税退職所得金額=(退職給与額−退職所得控除額(b))×1/2
(b)退職所得控除額=以下の表
勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年 超 800万円+70万円×(勤続年数−20年)
※勤続年数の期間に1年に満たない端数があるときは、その端数を1年に切り上げます。
※障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万円を加えた金額です。
つまり、退職金の額がこの退職所得控除額の範囲内であれば、税額はゼロということになります。
ただし、この計算式を使うためには「退職所得の受給に関する申告書」という書類を作成し、事業所に備え置かなければなりません。それが無い場合、控除なしで一律20%の税額ということになります。
[税率表](平成19年1月1日以降)
課税退職所得金額(A) 税  額
以下

1,950,000円
3,300,000円
6,950,000円
9,000,000円
18,000,000円
_ 1,950,000円
3,300,000円
6,950,000円
9,000,000円
18,000,000円
_

(A)× 5%
(A)×10%−  97,500円
(A)×20%− 427,500円
(A)×23%− 636,000円
(A)×33%−1,536,000円
(A)×40%−2,796,000円
(例) 退職金の支給額が1千万円、勤続年数が10年2か月の人の場合
_ 勤続年数=11年(2か月は1年に切り上げ)
_ 退職所得控除額=40万円×11年=440万円
_ 課税退職所得金額=(1,000万円−440万円)×1/2=280万円
_ 源泉徴収税額=280万円×10%−97,500=182,500円

【住民税】

 個人の住民税は、前年所得課税(納税義務者の前年中の所得を課税標準としてその翌年に課税する制度)を建前としていますが、退職所得に対しては、原則として現年分離課税(他の所得と分離して退職手当の支払われる際に住民税を徴収する方法)が取られています。
[税額計算]
課税退職所得金額の計算までは、所得税と同じです。
税率
区 分 税率 控 除 額(*2)
市町村民税(*1) 6% 税率を掛けて求めた税額の10%
道府県民税(*1) 4%
(*1) 東京都特別区にあっては、それぞれ特別区民税・都民税と読み替えます。
(*2) 控除は恒久的なものではありません。(「当分の間」控除するということになっています)
(例) 上記所得税の場合と同じ
_ 課税退職所得金額=(1,000万円−440万円)×1/2=280万円
_ 特別徴収税額(市町村民税)=280万円×6%×0.9=151,200円
_ 特別徴収税額(道府県民税)=280万円×4%×0.9=100,800円

【徴収と納付の方法】

税額の徴収は、退職金の支給時に天引きの形で差し引きます。
納付方法・期限
通常の給与の源泉税・住民税と一緒に納付します。納付書も同じ1つの納付書を使います。(記入欄は別)
[所得税]
納付方法 納 付 期 限
毎月納付の場合 支給月の翌月10日
納期の特例を
受けている場合
1〜6月分:7月10日
7〜12月分:1月10日(納期限の特例を受けている場合は1月20日)
[住民税]
納付方法 納 付 期 限
毎月納付の場合 支給月の翌月10日
納期の特例を
受けている場合
12〜5月分:6月10日
6〜11月分:12月10日
※いずれも、該当日が金融機関休業日の場合は翌営業日

【その他】

住民税については「退職所得の分離課税による特別徴収税額の個人別内訳書」という書類を別途提出することになっています。

【関連リンク】

退職金に対する源泉徴収(国税庁のHP)
平成19年1月1日からの退職所得に対する分離課税について(名古屋市のHP)
税金に関する届出書・申告書等(名古屋市のHP)

※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。