現在、個人がゴルフ会員権を売却した際に生じた損失(赤字)は、給与所得等、他の所得(黒字)と相殺することができます。
しかし、2005年度からはこれができなくなる可能性が高くなってきました。
財務省の方針 2月29日、財務省は個人が保有するゴルフ場やリゾートマンションの会員権を「投資対象の贅沢品」とみなし、売却時に生じた損失を他の所得と相殺できないように、所得税法を改正する方針を固めました。個人所得課税の抜本改革に合わせ、2005年度から実施する方向で検討に入った模様です。
譲渡損失と損益通算 通常、個人の所得は事業所得、不動産所得、給与所得といった複数の所得を合算して課税されます。この時、例えば事業所得で赤字が出た場合には、その分を他の所得(不動産所得・給与所得等)の黒字から差し引くことができます。(「損益通算」といいます。総合課税対象の所得と分離課税対象の所得がある場合には、それぞれの区分の中でしか損益通算できません。)
しかし、通常の生活に必要のない物(=贅沢品)の売却損には損益通算が認められていません。
贅沢品とは 税制上の贅沢品とは、通常の生活に不要な資産のことをいい、現在は競走馬、書画、古美術品、貴金属といった物が該当します。しかし、ゴルフ会員権はこの中に入っていません。贅沢品に関する規定ができた1961年当時にはゴルフ場やリゾートマンションの会員権は投資対象ではなかったためです。
今回新たにこれらを贅沢品とみなし、損益通算を認めないことにしたのは「時代に即した社会変化に対応する」という個人所得課税の抜本改革の方針にのっとったものです。
対応策 まだ改正が正式に決まったわけではなく、施行も2005年度と決まったわけではありません。しかし財務省や政府・与党の方針として固まりつつある現状を見ますと、可能性としてはこのまま決まると思った方がよいでしょう。
バブル崩壊で急激に値が下がり、売るに売れずに会員権を持っている人もまだ多いと思われます。2005年度から実施されるということなら、「売るなら今年中」と考えるのが一番無難だと思われます。もちろん、将来価格が上がる見込みがあるなら話は別ですが。
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