「相続時精算課税制度」とは、簡単に言うと、65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与を実際の相続が発生するまでの期間を通じてひとまとめで考え、相続時までの贈与税と相続税を一括して精算する制度です。2,500万円までの特別控除を受けることができ(つまり非課税)、それを超える部分については一律20%の税率で贈与税が課せられます。平成15年の税制改正で新設された制度です。(適用には他にもいくつかの要件があります。詳細は国税庁HPの解説やパンフレット等をご覧ください)
従来型の贈与税制度(毎年110万円の基礎控除。税率は贈与金額によって変化。)が無くなったわけではなく、受贈者の選択制となりますが、いったん精算課税制度を選択するとその後は永久に適用を受けることになり、途中でやめることはできないので、選択に当たっては慎重に検討する必要があります。
ところで、精算課税制度には住宅取得資金に係る特例が設けられています。これは、一定の住宅の取得等の資金の贈与については、先の非課税枠2,500万円に1,000万円が上乗せされ、3,500万円になるというものです。(平成15年1月1日〜17年12月31日の期間の贈与について適用)
この特例を受ける場合には親の年令が65歳以上という要件が無くなるという特徴があります。ただし、この特例を受ける場合でも、いったん選択するとその後は永久に精算課税制度の適用を受けることになり、5分5乗方式等の従来型の制度は選択不可となるため、やはり選択には慎重を要します。
【参考】5分5乗方式
親から贈与された住宅取得資金のうち、1,500万円までの部分につき特別な計算によって税額を軽減する制度。5年分の贈与税の基礎控除を前倒しにして、住宅取得のための頭金を贈与しやすくするための措置で、この制度を使えば550万円までなら贈与税がかかりません。(詳細)
※掲載記事は掲載日現在の法令等に基づくものです。その後の制度の廃止・変更等には対応していませんので、ご注意ください。